九州で太陽光の話をすると、塩害と並んで必ず出るのが台風です。 「飛ばされませんか」「屋根が傷みませんか」「雨漏りしませんか」。 毎年のように大型の台風が来る土地ですから、当然の心配です。
結論から申し上げると、強度の基準は法令と規格で決まっており、 それを満たして施工すれば、通常の台風で飛ぶことはありません。ただし「基準どおりに施工されていれば」という前提が付きます。ここが問題になります。
強度は何で決まっているのか
太陽電池を載せる架台の設計は、JIS C 8955「太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法」という規格で定められています。この規格は建築基準法とその施行令・告示を参考にして作られており、 風・積雪・地震のそれぞれに対して必要な強度を算出します。
基準風速とは
50年に1度の強さを想定しています
設計ではこの基準風速に加えて、地表面粗度区分(周りに建物があるか、 海沿いの開けた土地か)、高さ補正係数、ガスト影響係数(突風の効き方) を掛け合わせて、その場所に必要な強度を出します。
だから「うちのパネルは風速○mまで大丈夫です」という言い方は、本来は不正確です。同じ製品でも、海沿いの開けた土地と住宅街の中とでは、かかる風の力がまるで違います。 九州の沿岸部は風荷重が支配的になりやすい条件なので、ここは丁寧に見る必要があります。
飛散の原因は、製品より施工にあります
台風でパネルが飛んだという事例を見ていくと、パネル自体が割れて飛んだというより、留め方に原因があることがほとんどです。
- 屋根の下地(垂木・野地板)を外して留めている … 表面の屋根材だけに留めると、その部分ごと剥がれます。垂木を探して確実に留めるのが基本です。
- 固定点の数が足りない … その土地の風荷重に対して必要な本数が計算で出ます。減らせば施工は早く安くなりますが、後で効いてきます。
- ビスやボルトの締め付けが不足・過剰 … 緩ければ抜け、締めすぎれば材が傷みます。規定のトルクで締めることが要ります。
- 屋根そのものが傷んでいた … 築20年を超えるスレート屋根などは、下地が弱っていることがあります。パネルは30年近く載り続けるので、屋根の寿命のほうが先に来ないかを先に見ます。
雨漏りについて
屋根に穴を開ける工法では、穴の処理がすべてです。 防水部材とシーリングを正しく使えば漏りませんが、手を抜けば数年後に出てきます。 近年は穴を開けずに屋根材をつかんで固定する工法も選べる場合があります (屋根材の種類によります)。
雨漏りは、原因が特定しにくい不具合です
台風が来る前・来たあとにできること
来る前
- パネルの上や周りに飛びそうな物を置かない(飛来物が当たって割れる事例が多くあります)
- 近くの木の枝を切っておく(折れた枝が当たります。日陰対策にもなります)
- 停電に備えるなら、蓄電池の充電を満たしておく
来たあと
- 屋根に上がらないでください。濡れた屋根は滑ります。まず地上から見てください
- 割れたパネルには触らない。日が当たっていれば発電しており、感電の危険があります
- 発電量をモニターで確認する。数字が落ちていれば異常のサインです
- 異常があれば施工した会社へ。火災保険の風災補償が使える場合があります
停電したときのこと
台風で停電したとき、太陽光だけでは夜間や雨天に電気が使えません。パワコンの自立運転機能で日中に一部のコンセントが使えますが、使える量は限られます。停電への備えを重視されるなら、蓄電池との組み合わせが現実的です。