「昔は42円で売れたんですよね。いま載せても意味ないんじゃないですか」 現地調査でよく言われます。たしかに買取価格は下がりました。ただ、この10年で変わったのは売る側の値段だけではありません。買う側の値段も上がっています。両方を並べないと、判断を誤ります。
2026年度の買取価格
| 期間 | 買取価格 | 備考 |
|---|---|---|
| 1〜4年目 | 24円/kWh | 前半に手厚く配分されています |
| 5〜10年目 | 8.3円/kWh | 10年で買取期間は終わります |
これは資源エネルギー庁が定めた「屋根設置太陽光発電の初期投資支援スキーム」という考え方によるものです。 全期間で同じ単価にするのではなく、最初の4年に厚く配分して初期費用の回収を早める設計になっています。 国が「早く元を取ってもらう」方向に舵を切った、と読むのが正しい理解です。
比べるべきは「買う電気の値段」です
同じ1kWhでも、値打ちが3倍以上ちがいます
だから、いまの太陽光の正しい使い方は「発電したぶんを、その場で使い切る」ことです。 売電収入を狙う設備ではなく、電気代を先に払い終える設備だとお考えいただくと、判断がしやすくなります。
だから「載せられるだけ載せる」は正しくない
ここは営業の場でも誤解が生まれやすいところです。屋根に載る最大枚数を提案するのが、必ずしもお客様の得にはなりません。
- 日中に人がいないご家庭 … 発電の多くが余ります。余った電気は8.3円にしかなりません。 載せすぎると、その分の設備費を回収しにくくなります。
- 在宅時間が長い・エコキュートやEVがある … 日中に使い切れるので、多めに載せる意味が出ます。
- 蓄電池を組み合わせる … 昼の余りを夜に回せるため、 自家消費の比率が上がり、売電価格の影響をほとんど受けなくなります。
当社では、電気の検針票を数か月ぶん拝見して、実際の使い方から容量を決めています。 「何kW載りますか」ではなく「日中にどれだけ使いますか」から入るのが、いまの正しい順番です。
回収年数は、条件を入れないと出せません
「何年で元が取れますか」は当然のご質問ですが、次の5つが決まらないと、意味のある数字は出ません。
- 屋根の向き・勾配・面積(南向きが最良ですが、東西でも南の約85%は発電します)
- 日陰のでき方(建物・電柱・樹木。かかった枚数以上に発電が落ちます)
- いまの電気の使い方(月々の使用量と、昼と夜の割合)
- お住まいの市町村で使える補助金(1kWあたり7万円出る市町もあれば、制度が無い市町もあります)
- パワコン交換の費用(10〜15年で交換時期が来ます。ここを外すと計算が合いません)
回収年数だけを大きく謳う見積りには注意してください
補助金が入るかどうかで、話が変わります
初期費用に直接効くので、回収年数を最も大きく動かすのは補助金です。しかも市町村ごとに桁が違います。
| 例 | 太陽光の補助 |
|---|---|
| 糸島市・大木町(福岡) | 7万円/kW・上限63万円(9kWまで) |
| 佐賀県内(SAGAゼロカーボン加速化事業) | 7万円/kW・上限35万円 ※ただし抽選 |
| 中津市(大分) | 7万円/kW・最大35万円 |
| 朝倉市(福岡) | 1万円/kW・最大8万円 |
| 大村市(長崎)ほか | 2026年度分は予算満了で終了 |
同じ5kWを載せても、市が違うだけで35万円の差がつきます。そして締切前でも予算が尽きれば終わります。回収年数を真面目に考えるなら、 まずお住まいの市町村でいま何が使えるかを確かめるのが先です。
まとめ
- 買取価格は下がったが、買う電気は30円台。売るより使うほうが3倍以上の値打ち
- 国は前半4年に厚く配分して、回収を早める設計にしている
- 載せられるだけ載せるのが正解とは限らない。日中の使い方から決める
- 回収年数は補助金で大きく変わる。まず自分の市町村を調べる
- 試算にはパワコン交換の費用を必ず入れる