「二重床なのに、上の階の足音が響く」
「二重床は太鼓のように鳴るから、かえってうるさい」
こうした話をご覧になって、不安になった方が読んでいらっしゃると思います。当社はこの工事を実際にやっています。順に説明します。
🔴 先に認めます ── 空間の中で音が響くのは事実です
🔴 まず ── なぜ空間を作るのか
ここが、多くの記事で抜けているところです。
🔴 床下には、配管と電気の線が走っています。給水の管、排水の管、電気の配線。表からは見えませんが、床の下を駆け巡っています。
| もし空間が無かったら | |
|---|---|
| 🔴 そもそも通せない | コンクリートで埋まっていれば、配管を通す場所がありません |
| 🔴 コンクリートに埋もれる | 通したとしても、埋まった状態になります。⚠️ そうなると、交換ができません |
🔴 埋めてしまうほうが、リスクは高いのです。配管は、いつか必ず傷みます。そのときに触れないのは困ります。
🔴 下の階まで響いているなら、それは別の話です
ここは分けて考える必要があります。
| どこで響いているか | 何が起きているか |
|---|---|
| 床下の空間の中(太鼓現象) | ⚠️ 二重床の構造によるもの。多少は起きます |
| 🔴 下の階まで届いている | 🔴 コンクリートのスラブを突き抜けて、下層階まで行っているということです。これは二重床だけの問題ではありません |
⚠️ 「二重床のせいで下の階に響く」という説明を見かけますが、 床の下の空間の話と、スラブを抜けて階下へ届く話は、別のものです。
⚠️ 響きやすさは、そもそも設計で決まります
空間をどう作るかは、建物の設計段階で決まっています。
🔴 設計の段階で、響きやすい空間ができる作りになっていた場合、 あとから床側で対処のしようがありません。
⚠️ これは、マンションを施工した会社の腕という話でもありません。その前の、設計の話です。
⚠️ 遮音等級(LL・ΔLL)の見かた ── 数字だけでは決まりません
床の遮音を調べると、必ず「LL-45」「ΔLL(I)-4」といった表記が出てきます。ここを誤解したままリフォームに入る方が多いので、先に整理します。
まず、音は2種類に分かれます
| 呼び方 | どんな音か | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 軽量床衝撃音 | スプーンを落とす、スリッパで歩く。硬くて高い音 | 🎯 床材で下げられます |
| 🔴 重量床衝撃音 | 子どもが飛び跳ねる。ドスンという低い音 | 🔴 ほぼコンクリートのスラブの厚さで決まります。床材では、ほとんど動きません |
🔴 いちばん多い誤解 ── 「LL-45の床材だから、この部屋はLL-45」ではありません
🎯 ここが、ひとつ前の「響きやすさは設計で決まります」と同じ話です。床材の等級は、あくまで最後の一押しです。
🔴 マンションでフローリングを替えるなら、先に管理規約を見てください
🔴 では、二重床をやめればよいのか ── 方法がありません
「そこまで言うなら、二重床にしなければよいのでは」と思われるかもしれません。
🔴 ですが、実際には二重床以外の方法が存在しません。どういう施工をしても、空間はできるからです。
⚠️ もし本当に空間を作らないとしたら
🎯 それでも、対処の手はあります
「何もできない」という話ではありません。空間の中に、音を軽減する素材を入れる方法があります。
- ウレタン質のものを吹き付ける
- 🎯 綿のような素材を入れる … ⚠️ 本来は断熱と湿気に対応するものですが、同時に遮音の効果もあります
- 遮音シートを別に敷く
🔴 ただし、後からやると大掛かりになります
置床とは何か ── レベル調整と遮音の両立
二重床のことを、工事の側では「置床(おきゆか)」と呼びます。
🎯 置床は、遮音のためだけのものではありません。仕上げの床から、コンクリートのスラブまでの距離を調整する役目があります。
足の長さを変えられるので、どんな高さでも合わせられます。🎯 つまり「レベル調整」と「遮音」を同時に成立させたもの、という位置づけです。
硬さを決めるもの ── 工法と、足の下のゴム
| 何で決まるか | |
|---|---|
| 工法 | システム根太工法か、際根太(きわねだ)工法か。これで床の硬さが変わります |
| 🎯 支持脚(アジャスター)の下のゴム | 🎯 床を支える足(支持脚・アジャスター)の下に、遮音ゴムが付いています。このゴムの種類で、遮音の効きと柔らかさが決まります |
⚠️ 材料そのものについて言えば、大手3社が市場を占めていますが、 いずれも似たようなものです。🔴 「どのメーカーか」より「どのゴムを選ぶか」「どの工法にするか」のほうが、 住み心地に効きます。
🎯 「ふわふわする」の正体は、二重床ではありません
床がふわふわする、という相談をいただきます。🔴 これは多くの場合、二重床ではなく直貼りのフローリングです。
⚠️ この「直貼り」は、お客様のあいだでは「直床(じかゆか)」と呼ばれることが多いものです。同じものを指しています。二重床の反対、と考えていただければ結構です。
| 直床(直貼り)フローリング | 釘打ちフローリング | |
|---|---|---|
| 貼る場所 | 🔴 コンクリートのスラブに直に貼ります | 🎯 下に二重床(置床)があります |
| ふわふわの理由 | 🔴 ①コンクリートの面はガタガタしているため 🔴 ②遮音のため、裏にクッションが付いているため | — |
| 🎯 歩いた感じ | ふわふわします | 🎯 柔らかいものを選んでも、直貼りより普通の歩行感です |
🎯 自分の家がどちらなのかは、歩けば分かります
🔴 見た目では、まったく分かりません。床の内部の構造の話なので、表からいくら見ても判断できません。
🎯 ですが、歩いた感じで分かります。ここがいちばんはっきりしていて、どなたでも分かります。
| 歩いた感じ | どちらか |
|---|---|
| 🔴 沈む感覚がある | 普通に歩いていても、すぐ分かります。ふわふわと浮いているような感じです。🔴 これが直床です |
| 🎯 違和感がない | 歩行感に違和感がほとんどありません。🎯 違和感がないのであれば、二重床です |
🎯 迷ったら、それは二重床です
🔴 では、直床を二重床に変えられるのか ── かなり困難です
「ふわふわが気になるから、二重床にしてほしい」というご相談をいただきます。🔴 ですが、これはかなり難しい話です。
二重床にするには、コンクリートのスラブから仕上がりの床面まで、ある程度の距離が要ります。🔴 直床になっているのは、その距離がほとんど無いからです。直床でしか仕上げることができなかった、ということです。
⚠️ そもそもの、いちばん最初の設計の段階で決まっています。後から変えるとなると、コンクリートを斫(はつ)って深さを出すことになります。
🔴 できないわけではありません。ただ、そこまでする必要性がありません
🎯 では、直床のままで良くする手はあるか
まず、何が気になっているかによります。
🎯 歩行感が気になるということであれば、カーペットにするのは良い方法です。
⚠️ ただし、見た目がかなり変わります
まとめ
- 🔴 空間の中で音が響くのは事実です。そこはごまかしません
- 🎯 ただし、その空間は配管と電気のために必要です。埋めると交換ができなくなります
- 🔴 下の階まで届いているなら、それはスラブを抜けている話です。床だけの問題ではありません
- ⚠️ 響きやすさは、そもそも設計で決まります
- ⚠️ 床材の遮音等級(ΔLL)は「床材の力」であって、部屋の静かさそのものではありません
- 🔴 マンションでフローリングを替えるなら、先に管理規約を確かめてください
- 🔴 そして、二重床以外の方法は存在しません
- 🎯 対処の手はあります(ウレタンの吹き付け・綿状の素材・遮音シート)。 🔴 ただし後からだと大掛かりです
- 🎯 「ふわふわ」の正体は、多くの場合 直床(直貼り)フローリングです
- 🎯 どちらかは歩けば分かります。沈む感覚がはっきりあれば直床、違和感がなければ二重床です
- 🔴 直床を二重床に変えるのは、かなり困難です。スラブから床面までの距離が足りず、コンクリートを斫ることになります。 できなくはありませんが、そこまでする必要性がありません
当社は、関東の元請けから内装の仕事を請けて、この工事を実際にやっています。置床、フローリング、木巾木、下地。現場でやっている側からお答えできます。
⚠️ お住まいの床がどちらなのか分からない、という段階でも構いません。現地を見ればお答えできます。調査もお見積りも無料です。